家元のよみもの Vol.27 涼やかに映す秋の気配
- kajiinomiyagoryusn
- 9月2日
- 読了時間: 3分
まだまだ猛暑日が続いています。それでも夜になると、そこはかとなく秋風を感じるようになりました。海風のおかげでしょうか?
皆様、お健やかにお過ごしですか?
7月に引き続き、8月にも横浜高島屋で展覧会がありました。神奈川県内の華道協会から代表者が集まり開催する華展です。
5年に一度横浜高島屋で開催されますが、それ以外は毎年、神奈川県内のあちらこちらで開かれる華道展で、一番遠くでは小田原まで行った記憶があります。
慣れ親しんだ会場ではなく、いろいろな場所へ赴いて、作品を発表することも新鮮で楽しいものです。
それにしましても今年のこの暑さの中での展覧会には、夏は辞めて〜と叫びたくなります。
今回は予定していた花材が急遽変更になり、生け込み当日の朝まで決定せず、果たしてどうなるのかしら…と思いました。
しかしながら私の元にしっかりと素敵な花達が来てくれました。
そして、今回も先月と同じ会場なのですが、お席の場所が良く、とてもモチベーションが上がりました。とは申しましても、サイズの制限はいつも通り。それは守らなければなりません。
花材はコウテンクワ、ドウダンツツジ、カラー、ギョリュウ。
とても私の心をくすぐる枝ぶりのコウテンクワをお花屋さんの社長が仕入れてくれていて、もうその時点でウキウキしました。
それから大きな冷蔵庫の中に入り、合わせるものを物色します。
これはいつも宝探しをしているみたいな感覚です。
沢山の花材の中から、スラーッと細くて長いドウダンツツジを見つけて即決し、あとは、社長さんが私に買っておいてくださったギョリュウ、これはどうやっていけようかと思いつついただくことにして、それにぴったりの色合いのカラーを合わせました。
自分の好みばかりで選ぶといつも似てしまうし、面白みがなくなります。
社長さんのお勧めはなるべく取り入れるようにすると、新たな発見があり、新鮮な作品に繋がります。けれども、これは、かなり私の好みを理解してくださっているからこその信頼と、良い品であることの証です。
今回は高い位置にコウテンクワとドウダンツツジを涼やかに配し、風が通り抜けるようなフォルムに仕上げました。根元の低い位置にはカラーとギョリュウの色合いが、素焼きの壺とリンクし、一足早い秋の気配を演出できたかな、と思っています。

暑くて、何もしたくなーい!と思ってしまう日々ですが、展覧会があると、心も体も軽くなり、なんとなくワクワクウキウキする私です。
これから次々とイベントが続きますが、一つずつ、丁寧に作品を生けて参ります。
そして皆様にご覧いただけることが、励みとなります。
お暑い中をお運び下さいました皆様にはこの場をお借りして心より御礼申し上げます。
夏の疲れが出る頃ですので、どうぞお身体をおいといの上、この夏をご一緒に乗り切りましょう。
梶井宮御流
第二十一世家元
一松斎 藤原素朝