溶けてしまいそうな暑さの毎日ですが、皆様いかがお過ごしですか?
今年は本当に暑い!
この暑さに負けずに夏を乗り切りたいですね。
先月でこのよみものも1周年を迎え、第14回は心新たに清々しいお話をと思っていましたら…
またまたプライベートなことで恐縮ですが、7月末になんとしたことか、顔に傷を作るという大失態を起こしてしまったのです。
この1ヶ月ほど日頃の忙しさに加え、イベントがいくつかあり、追われるように過ごしておりました。一つ一つ仕事をクリアし、横浜の毎年恒例の華展で無事に7月も終了というその直前、自らのうっかりから、眉間に深い傷を負ってしまったのです。
その時の恐怖とショックは思い出しただけでも涙がでます。
自分でしたことなので仕方ないのですが、夢であって欲しいと何度も願うほど、今もまだ痛みがあり、時折ショゲております。
けれどもその横浜での展覧会の準備の為、オデコに絆創膏姿で花材調達にお花屋さんへ行ったり、思いがけない心ときめく花との出会いがあったりと、段々と怪我のショックは薄れ、気持ちが明るくなっていきました。
そして、二日間作品と共に過ごし、すっかり心は元気になりました。
ここで少し話が逸れますが、大分以前に、葉山のあるサロンで中国茶の講習会に参加したことがあり、貴重なお茶の説明から中国茶の美味しい頂き方などお習いしました。
その際、先生が、ある時から素晴らしい茶葉が自分の元に集まってくるようになった、とおっしゃったのです。
その言葉が忘れられずにいつもふとした時にあの瞬間を思い出していました。
私の元にも素敵な花材が集まってこないかなぁ〜、と。
それがいつの間にか、私の身にも起こっており、不思議なほどに素敵な花材と出逢うようになったのです。
いつからなのか…
今回も正にそうでした。
お花屋さんで取り合わせた花材、何かもう一つピンとこない、そう思っていたところ、偶然あるところで、これがあればパーフェクト!と思える花材に出会い、それを手に入れることができました。
お陰様で納得いく取り合わせで作品をいけることができ、そのプラスした花の力で、作品自体がとても明るい印象になり、私自身も元気づけられたのです。
特に今回はお花の神様から、怪我のお見舞いかな、とも思いました。
あまりに落ち込んでいたので…
この仕事が天職であり、幸せであるとは感じながらも、普段、お花を生けることも、教えることも当たり前で、お花の生活が常に自分の中にあり、特別に何も感じなくなっていたように思います。
常にパワーをもらっているのに…
それを改めて感じたのでした。
会員の中にもこれまで、大病をしたり、ご家族のことで大変な状況の中でもお稽古を続けてくださった方が沢山います。
「お花があったから頑張れた」という言葉を聞くと、その度に心から嬉しく思ったものでした。
そのことが、今回、自分の身にも降りかかり、これまで皆様から、お作品からパワーをもらいました、とおっしゃっていただくことはありましたが、自分自身がパワーをもらったと感じたことはありませんでした。
もし華展がなかったらグズグズと落ち込んで寝込んだり泣いてばかりいたかもしれませんが、生けることで、そのことに集中し、花に触れパワーをもらったのだと思います。
良いタイミングだったかな!
忙しすぎて、日々を丁寧に過ごせなくなっていたところのこのハプニング、神様から少し休みなさい、と言われたようにも感じました。
そして、この怪我が目ではなく、鼻でもなくて不幸中の幸いだと思えるようにもなりました。
あとは、傷が少しでも目立たなくなることを願うばかりです。
皆様も暑さでお疲れが溜まっていることと思います。
どうぞお身体をおいといの上、この夏をお健やかにお過ごしいただきたいと思います。
これから更に私が生ける花から何かを感じていただけるような作品を生けていきたいと思います。
皆様、いつも応援ありがとうございます!
梶井宮御流
第二十一世家元
一松斎 藤原素朝