家元のよみもの Vol.35 花に委ねるということ
- 5月2日
- 読了時間: 3分
更新日:5月3日
あっという間に5月を迎え、緑の美しい季節となりました。皆様、GWをいかがお過ごしでしょうか?
私は2月からイベントが続き、かなりハードな3月、4月を過ごしました。幸い、無事に乗り越えて、今は束の間の休息です。
先月、いけばなインターナショナル東京支部例会にお招きいただき、デモンストレーションをいたしました。
昨年の11月には鎌倉支部の例会に於いて『秋色から冬の装いへ』というテーマでのデモンストレーションを行いました。
その流れでこの度は『春から初夏へ〜花のうつろい〜』と題し、名残の桜から、水盤の水面を全面に見せ、涼やかな初夏の花まで、季節の花を5作品、皆様の前で生けました。

自然の植物を扱うことは、毎回本当に緊張するものです。
今回も、納得のいく花材が思うように集まらず、当日の朝まで調達していました。
ところが、最終的には「これだ」と思うものが私の元にやってきてくれるのですから驚きです。おかげで思う存分、花とのやりとりを楽しむ事ができました。
このデモンストレーションの前週には、今年3回目となる能舞台での装花があったのですが、こちらも花材調達にヒヤヒヤしました。
ポピー640本を発注していたのですが、急な温度の変化によって、一斉に咲いてしまい、突然の出荷停止となりました。
その後、品種を変えて500本をどうにか入手しましたが、咲かないのです!
展覧は1日だけのことなので、咲いていなければ困ります。
前夜にほぼ全てのポピーの蕾の殻を一つ一つ剥がしながら外し、色を出しました。
アクがあるのか、指先が真っ黒になりました。
苦労の甲斐あり、翌朝にはどうにか華やかに咲いてくれ、心底ホッとしましたが、今回ほどハラハラしたことはありませんでした。
通常の季節にこれまでは出回った花材でも、昨今の異常気象の影響もあり、これまでとは開花時期も少しずつ違ってきています。
そしてどんなに慣れた素材でも、一つとして同じものはないのが植物です。
毎回毎回、手にするまでの不安と期待、そして、生け始めるまでのドキドキは、何度経験しても変わることがありません。
けれども、いつも最後にはお花は私の味方をしてくれて、キチンとそれぞれの居場所に収まってくれるのです。
お花の持つ力を信じて、直感と偶然と必然をミックスさせる。そんな作品が、私の花なのかな、と思います。
息切れしながら過ごした4月に別れを告げたばかりですが、私の最重要任務である三千院での献華式がある5月となりました。なおいっそう気を引き締めて過ごして参ります。
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梶井宮御流
第二十一世家元
一松斎 藤原素朝



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