家元のよみもの Vol.31 静かな緊張の中で
- kajiinomiyagoryusn
- 1月3日
- 読了時間: 3分
謹んで初春のお慶びを申し上げます。
皆様、お健やかに新年をお迎えのことと存じます。
昨年一年、『家元のよみもの』をお読みくださいまして本当にありがとうございました。
昨年はイベント続きの忙しい一年でしたが、思い返すとその時々が、どれもとても楽しいものでした。
初めてのことにも挑戦することの多い年でしたが、全てがお勉強になり、とてもよい経験となりました。この機会に恵まれましたことに心から感謝しています。
今年はゆとりを持って日々を丁寧に過ごしたいな、と思った矢先に、松の内が明けるとすぐにNHKの収録があります。そして、その翌日には歌舞伎座ロビーにお花を生けることになっています。昨年秋の歌舞伎座装花に引き続きお話があり、今回は作品サイズは小さくなりますが、4名でお花を展示し、展覧期間が長くなります。
この度も演目に因んだ作品をとのことで、NHK同様、またイメージを膨らませなければなりません。
NHKの収録も早いもので残すところ3回となりました。担当の半年間があっという間に過ぎてしまいそうです。
毎回ワクワクとドキドキが交錯しながら生け込みに望みますが、その準備と片付けの大変なこと!それでも嫌だと思うことなどありません。準備から収録が終わるまで、夢中になってその時を過ごしています。
年末に、春までにいくつかのイベントがあるので、それぞれの作品を何となく考えていたら眠れなくなってしまいました。このようなことはあまりないことでした。
どうしてそうなったのかと考えますと、スケジュールがタイトになりすぎていたためでしょう。あらかじめきちんと考えておかないと器の選定から花材の確保、お手伝いのスタッフの手配などなど、とにかく、なんとなくではやりこなせなくなってきたのです。
それだけお仕事をいただけて、とても幸せなことだと思います。ただ、どれだけ経験を積み重ねても、その都度の緊張は無くなることはありません。それは相手が自然の植物だからなのでしょう。この緊張は、植物に対する畏敬の念なのだと思います。
私は毎回出会う花材に対して常に畏敬の念を抱きます。自分のイメージする花姿にその植物達が同意してくれる時もあれば、賛同されない時もあります。そういう場合は、相手(植物達)の意向に自分のイメージを同調させることもあります。そのやりとりをしながら私の花は出来上がっていくように思います。
決して押し付けることなく、お互いに受け入れられるゆとりが大切なのだと思うのです。
人間関係に似ているのかもしれません。
私の家元としての活動は、植物の命をいただくことで成り立っています。その命を無駄にすることなく、活かしきり、最高に輝かせたい、そのような思いで花と向き合っています。
お互いに感謝の気持ちを忘れることなく、人とも、植物とも触れ合っていきたい、こんなことを思った新年でした。
明日1月4日は、NHK短歌の番組で、『近景の富士』が放映されます。この富士に使った貝塚伊吹は、50年ほど経った大木なのですが、伐採するとのことでお声かけいただきました。伐採の前に私の元に来てくれたこの貝塚伊吹で、お正月に相応しい『富士』を生けました。お題は『白』、そして、『近景の富士』を是非ご覧いただきたく存じます。
本年が、皆様にとりまして佳き年となりますよう、お祈り申し上げます。
2026年1月『壽 初春大歌舞伎』に関するお知らせは こちら から御覧いただけます
梶井宮御流
第二十一世家元
一松斎 藤原素朝








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