家元のよみもの Vol.37 挑戦の夏
- 6 日前
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凄まじい暑さの日々ですが、皆様お変わりなく、お元気にお過ごしでしょうか。
まとわりつくようなこの暑さ、日本は一体どうなってしまったのでしょう。
いや、世界中がこれまでにない気象へと変化していますから、人間もそれに耐えうる肉体を創り上げなくては、これからを生き抜くことができなくなりそうです。
しっかり食べて頑張りましょう!
先月、この暑さの中、9日間の歌舞伎座での装花を無事に終えました。
お出かけ下さいました皆様にはこの場をお借りして心より御礼申し上げます。
次回は2月とのことで、また参加したいと思っておりますので、是非お運びいただきたく存じます。
今回は一人の役者が、「可憐な娘」と「勇壮な獅子」を演じ分ける『春興鏡獅子』をテーマに作品制作いたしました。
前半の弥生は、上品で優美な舞と繊細な所作が美しく、その姿に惹き込まれました。
後半は長い毛を豪快に振る獅子の舞に続きます。その圧倒的な迫力は、今も鮮やかに心に残っています。
この演目を観た感動を作品にこめたいと願い、考えをめぐらせました。そして、まず「晒し枝垂れ桑」を豪快に組み上げ、獅子の力強さを表現しました。加えて、「蘭」を蝶に見立て、舞台をひらひらと舞う情景が目に浮かぶようにと願いながら生けました。

実は当初の予定とは異なる取り合わせとなりました。
生け込みの当日、偶然出会った蘭に一目惚れしてしまったからです。あらかじめ用意していた花材を取りやめて、変更しました。結果的には生けあげた時、こうなるようになっていたのね、と自分でも納得のいく作品となりました。
ただし、その花の命の短いこと!
猛暑とはいえ、2日ごとに生け替えたり、お水を取り替えたりと、9日間、皆勤賞で通う必要がありました。
出張先から、夜のお手入れ時間目掛けて、車を飛ばした日もあります。
まだほんの1週間前のことですのに、大分前のことのようです。
生の植物はお世話が大変ですが、お手入れすれば応えてくれる、なんとも愛おしいものです。
第3回目となる歌舞伎座装花でしたが、とても幸せな日々でした。
『挑戦の夏』と題しましたのは、いろいろな思いがあってのことなのですが、まずはつい先日、初めての花材で古典華を生けたことに始まります。
業界紙からの依頼で夏のお花の写真を撮らなければならず、どうしようかと思い巡らせていたところに、グニャグニャと先端の曲がりくねったグラジオラスが目に飛び込んできたのです。
その瞬間私は閃きました、これだ!と。
すぐさま教室で取りかかると、想像通りの花姿に生け上がりました。

業界紙にはテーマが必要でいつも季節感や、その花のイメージでつけるのですが、今回は初めての花材に挑戦したこと、そして、今月末に開催されます初めての挑戦となるお仕事のことが常に頭にある為、思わず、『挑戦の夏』と題してしまったのです。
けれども、この作品、爽やかで涼しげ、どちらかというと静かな雰囲気を醸し出している…
ちょっと勢い余ったお題をつけて提出してしまったかもしれません。うーん、誤ったかな、と今頃悔やむ私です(笑)
とにもかくにも、この夏が終わる頃、この夏、よく頑張った、と自分を褒められるように、これからの日々、イベントに向けて準備に励みたいと思います。
皆様もくれぐれもお身体をおいといの上、この酷暑をお過ごし下さいませ。
梶井宮御流
第二十一世家元
一松斎 藤原素朝





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